６月になって、ベラとグレタそれぞれに”ハウス”がやってきた。それまで、いつも２頭はいっしょだった。ごはんを食べるのも、眠るのも、ウンチするのも、すべて・・・。
が、しかし、可愛い子犬と言えどもあなどれない。２ヶ月を過ぎる頃からだろうか、ベラの脱走が日に日に盛んになっていった。思えば１ヶ月半くらいのときから３０センチくらいの高さの囲いをヒョイと乗り越えたりはしていたのだった。それが徐々にエスカレートし、3ヶ月を過ぎる頃には９０�Bも楽々クリア～！といったふうに。軽く助走をつけ、飛び上がり、バンッと両手前足をサークルの縁にかける、そして後ろ足を器用に使って乗り越えてしまう、とにかくその技術にはすさまじく、また、すばらしいものがあった。僕の飼い主は、はさんざんナイ頭をひねり、サークルの縁に”かえし”をつけたり、板をはったりもしたが、そんなことはおかまいなしに、うまいこと脱走するベラ。イタチごっこの毎日がくり返されていた。
もうひとつ、仲良しのふたり・・・ではあったが、このころになると何をするにも勢いがあって、さらにスピードも加わり、日に日にパワーアップしているのは確実なのであった。食べる勢い、あそびの激しいこと、ひとり（１頭）なら落ち着いてできることも、ふたりになると、なぜかお祭り騒ぎになってしまうらしい。もう、すでに”手に負えない”状態なのであった。
そんな状況となって、ぼくの飼い主はドデカいケージをふたつ買ってきた。中は結構広くてピレネー犬でも楽に入れるほど。さっそくベラとグレタのハウス生活が始まった。ハウスに入っているのは夜眠る時と朝夕の食事の時だけ。食事も中でとるから、ふたりとも喜んでハウスに入る。そして今までガツガツしていた食事（互いに、はやく食べてお隣の分までもらおう～！という魂胆）はまるで別な犬のように、落ち着いて食べるようになった。一緒にいた時はところ構わずしていたトイレもグッと我慢してハウスの中ではしなくなった。別々にしても寂しがって騒ぐこともなく、夜泣きもない。かえって
”ひとりでせいせいするわ～！サイコ－！”
と思っているらしく、やれやれヨカッた、と胸をなでおろしたのであった。
しかし、トイレに行きたい時、朝目覚ましが鳴った時、同時に「わんわん、ギャーギャー」とすさまじい。
”ハウスではオシッコしたくな～い！”
という、ふたりの善良なる意志が伝わってくるだけに、どんなに忙しく、どんなに眠くても僕の飼い主は急いでハウスの扉を開け、そとに連れて行く。すると、ふたりとも気持ちよくオシッコしてくれるので、苦労の甲斐があった！というもの。くだらないようだけど、こういう毎日の積み重ねがスーパードッグになる（？）ためには欠かせないんだ。
そんなわたちのけっとうちょのなまえは、
"AMORE MIA(愛しい彼女）っていうのよ！”
大女優をめざすわ！”
